ひたちなか・方形の家

茨城県ひたちなか市、ご実家の敷地の一角に建つ、ご夫婦と子ども二人のための平屋です。母屋の眺望を遮らず、南の雑木林の影が冬でも届かない場所を選ぶと、おのずと正方形の平面になりました。

正方形の平面に屋根をかけると大棟がなくなり、三角形の屋根が4枚かかる単純な形になります。頂点から隅木をかけると、長さの関係で柱を途中に立てることになりますが、これを正方形の1/3の位置に立てると、平面は小さな正方形に9分割されます。幾何学的でありながら、真ん中に外と触れないコアを持つ強い形です。

このプランは先人が幾度も使ってきた手法で、単純で、実に難しいものでもあります。昔なら1.5間のグリッドで20坪ほどがちょうどよいのでしょうが、現代の暮らしに合わせて1尺(303mm)広げ、10尺(3,030mm)のグリッド、全体で5間角の平屋としました。この1尺が、ゆとりのある空間を生んでいます。

天井を低く抑えた玄関から扉を開けると、視線が奥まで抜けて外につながり、ダイニングの大開口から光がふりそそぎます。杉の化粧垂木は奥まで連続し、空間の奥行きを増しています。リビングとラウンジは小壁を回して少し閉じ、寸法を一尺広げたことが単純な空間にリズムを与えます。真ん中には台所を置きました。動線がよく、どっしりとした中心があることで、小さな平屋に回遊性と連続性が生まれています。

軒高は最も低いところで2,200mmとかなり抑えていますが、この低さが軒先をちょうどよく見せ、圧迫感なく納まっています。窓の高さも全体に低く、重心の低い佇まいです。単純な形だからこそ寸法を丁寧に扱い、小さな空間に襞をつくる。それが、居心地のよい住まいになりました。

2024年にグッドデザイン賞とウッドデザイン賞、2025年にウッドワン空間デザインアワードのウッドワン賞をいただきました。

Data

所在地
茨城県ひたちなか市
構造規模
木造平屋建て
建築面積
111.70㎡(33.74坪)
延床面積
101.53㎡(30.67坪)
竣工年
2022
分類
House
建築カテゴリ
主要作品/平屋/小さな家
受賞
2025 ウッドワン空間デザインアワード 2025 戸建て・マンション部門 ウッドワン賞2024 GOODDESIGNAWARD2024 グッドデザイン賞20242024 ウッドデザイン賞2024 ライフスタイル部門 → biography